素人の言葉数が多い料理店

プロのようにディープじゃないけど、素人なりの楽しみ方がある。 「素人の言葉数が多い料理店」が、知ろうとするきっかけになれば。

「BREIMEN」を味わう_3rdアルバム『FICTION』

2022.07.20リリースの3rdアルバム『FICTION』


もう3か月経ってるんですね、毎日再生回数回しております。
アルバム通して聞くと繋がった流れがあってとても聞きごたえがあります。

僕目線ではありますが、BREIMENについて少し書き記しています。
BREIMENを知るお役に立てたら幸いです。

pptpp0503.hatenablog.com

BREIMEN、「ミクスチャーファンクバンド」の銘打ちに囚われることなく、ジャンル「BREIMEN」じゃん?と思わせちゃうくらいに表現の可能性無限大バンド。
紆余曲折を経て現在、
高木祥太(Ba/Vo)、サトウカツシロ(Gt)、いけだゆうた(key)、ジョージ林(Sax)、So Kanno(Dr)の5人組に。

BREIMENの曲、個人的な楽しみ方は
まずはそのままイヤホンで曲を聴く⇒MVがあるものは視聴する⇒歌詞を読んで聞く⇒インタビュー記事・動画に目を通して聴く。
何通りも世界が違って見えて、深く味わえること間違いなしです。
歌詞の認識や曲の解説を聞かずに音楽そのものを楽しむのはもちろんのこと、
理解して楽しむのもまた良しなのです。

BREIMENは音づくりへのこだわりが本当にすごい。
今回のアルバムは長期間の合宿もしつつ作成されています。ドラムの音づくりひとつにしても、納得できるまで何時間もかけたりと音の質を感じるアルバムです。
しかも「5人だけで音を出す」「クリック(メトロノーム音)は使わない」等の制約あり。縛りプレイをアルバムでやるの!?状態です。
そしてとにかく実験を続ける。挑戦を続ける。そんなもので音を鳴らしてるの!?ってことや、この楽器にそんなエフェクトかけるの!?ってことをやってのけ、
曲中「これは何の音…?」となる瞬間も楽しみのひとつです。僕は音楽素人なので聞いたことのない楽器もたくさんありますが、それがまた楽しい。


■M1.フィクション

まさに映画の始まり。
優しい音色やフィルムの回る音、終盤はどことなくこの後の展開を思わせるような不穏…というか「何か始まるぞ…?」と匂わせる感じ。
全然大丈夫!な明るさで次へ送り渡さないところが味だな〜。あの声、誰がなんて喋ってるのかな〜?と結構気になる。このメロディはアルバム終盤にしっかり効いてきます。

ストリングスいると思ってた!知らない楽器きた!しっかり5人で、ですね!


■M2.ドキュメンタリ

「人たらし 人だまし 人でなし 人まじき」冒頭の歌詞ですが、
今回のアルバム発売に関するインタビュー記事を読んでからドキュメンタリを聞くと、歌詞に関しては高木祥太さんをめちゃくちゃ感じる曲です。

natalie.mu

バンドのインタビューでこんなにフロントマンが叱られてる記事ある???と思わず笑ってしまった、とても印象的な内容でした。とっても赤裸々。
それに対するジョージ林さんの友目線というか父性というかの意見に、ジョージさんのお人柄を感じた次第です。パパ… ;  ;
高木さんの話したトピックスに対して三者三様、五者五様に感じることを話されていて、修学旅行で無理やり組まされた班を堪能できるインタビュー記事でした。
『BREIMEN : 映画 “DOCUMENTARY?”』では「修学旅行3班」といけださんが話されていました。3班っていうニュアンスがめちゃくちゃいい塩梅です。わかる感。

高木詞の世界観と言葉選びは噛めば噛むほど味が増します。
「穴は深く掘り続け 時がきたら埋めてくれ それまでは見逃して」
情けなさ、潔さ、泥臭さや人間としての強さを感じる一節。
酸いも甘いもあって、人柄があるからこそのワードだなと思いました。
以前より作詞について高木さんは「自分に当て書きは出来ない」とおっしゃっていますが、今回は特に内面にググっとフォーカスされています。
実際はわかりませんが、メンバーからの高木さん評を受けて「人たらし」「人でなし」にウンウンと頷いたBREIMENファンも多いのではないでしょうか。実際はわかりませんが!実際はね!!!

ドキュメンタリは特に「曲中になんぼほど展開あるの!?」が楽しめる曲。
BREIMENの生み出す曲は、最初から最後まで同じ気持ちで終わらないというか、緩急と気持ちに呼応して進んでいくように感じますが、ドキュメンタリではそれがたっぷり味わえます。
冒頭のファンキーな雰囲気から緩急もテイストもいろんな味で展開していって、なによりベースソロ、入り方とんでもカッコイイな!?武骨さがよすぎな!?と個人的にリピート率が高い曲です。


■M3.CATWALK

MV見て「えーーー映画じゃーーーん!」と感動した曲。

www.youtube.com無声映画風に描かれるCATWALK。撮影手法やストーリー展開、衣装のキュートさも楽しめます。メイキングの板割り、必見です。

軽やかなイントロやAメロなのに、歌詞はそこはかとない危うさ。少し先が見えないような、近い将来の終わりが見えるような。
高木詞は時折、「経験して、あの心情を一度でも知ってると胸をグワシッと掴まれる感覚」や
「強制的に奥からあの時の心模様を引っ張り出される感覚」になるんですよね。


メロディで驚いたのはサビの部分。
サビ終わりのメロディライン、締まり方というか、そこがとても特徴的だなと。不安定さやキャットウォーク感も表現されているような、BREIMENだから取る選択肢のような気がして、世界観~~~~^^となりました。言葉にならなすぎて単語発するしかできない。。;;


⬛︎M4.苦楽ララ

エグい!バカかっこいい!が初聴きの感想。歌詞ヒアリング高難易度曲。
インタビューで「どうやってこの歌詞を思い付いたのか思い出せない」と話されてるカオスな状況で作られてることが納得出来る曲です。

spice.eplus.jpドロっとしたダークさを鋭さで表現したような。いやほんとなんでも出来るなBREIMEN!と思っちゃう曲。
イントロからのAメロ、尖ってるよ〜~~かっこよすぎだろ〜〜???って妙なテンションにさせられ、
サビのサックスが…ひえ…シンプルな音なのにこんなにかっこいい…とちょっと引くレベルで魅了されます。
高木さんはよく「声のレンジが狭い」と話されていますが、それを感じさせないレベルに、声域を高さとは別軸で広げる技術をめちゃくちゃ上げてきている!武器にしている!と思いました。
縦軸がある程度決まってきてるなら、横軸や奥行きを広げていけばいいんだな〜を体現している~~そしてそれをボーカリストとして実践なさってる~~〜合掌。ありがとうと言いながら合掌。
先述のインタビュー記事でジョージさんが高木さんのベースを「予測できる成長速度を大幅に超える成長をしていった」「天才」と話されていましたが、ボーカルに関してもぐんぐん成長期なのでは!?アルバムを通して成長に立ち会えてるの感謝しかない~~合掌。


⬛︎M5.MUSICA

苦楽ララからのMUSICA。皆さん、苦楽ララからのMUSICAです。どうなるかわかりますか?泣くしかない。正解は泣くしかない、です。

MVはBREIMENは5人なんですが、そのBREIMENが在るのはファミリー・チームがあるからだなと感じる作品です。

www.youtube.com

BREIMENって5人だけど、5人じゃない。高木家(ガチファミリー)が出てるのも、いつもながら笑顔案件。

www.youtube.comMVに関しては09:06あたりからお話されています。
が、全編通してがっつりアルバムについて話されてるので必見です!
聞けて嬉しいお話がてんこ盛り…!
撮影に関して「ご褒美みたいな日だった」と話しておられましたが、端々から滲み出てこちらにも幸せが伝染しております。
ホームを感じるところや、なのにところどころに散りばめられた小さな寂しさ、たくさんの楽器に囲まれているところ(いけださん談)を楽しめるMVです。あとワンちゃんを見ましょう。かわいい。


曲はもう、曲〜〜〜〜‪ ;  ;て感じです。BREIMENの新しい名刺じゃないですか〜?‪ ;  ;てくらい完成度高くて感動。コーラスすごく綺麗で、厚みの出し方が嫌味じゃないのほんとすごい。
サビ直前のギターも可愛かっこよすぎて!?

THE FIRST TAKEにも、「MUSICA」の演奏で出演されました。

www.youtube.com即興アウトロは必見必聴、まさにBREIMENのよさが最大限に出ています。

アウトロ誕生ヒストリー、ありがとうございます。合掌。
ドラムの奏法についても先述のスペシャのpowerpush動画で「発明」と話されていて、MUSICAを作る大きな要素、必聴です。

明るいサウンドなのに、なぜか胸が苦しく切なく。初めて聴いた時は涙がツーっと。
インタビューで「どん底にいた時だからポップで明るい曲が作れた」と話されていたのでそういうところなのかなーと思ったり。
「今は生きてない人(言い回しがすごいと個人的に感動したワード)の作品からの影響や脈々とした繋がり」を話されていて、歌詞やメッセージ性からどことなく故人との繋がりや心の拠り所のようなものを感じたことにも納得。僕は曲を聴いた時、またいつかと会う約束をした、もう会うことのない人を思いました。
1人でない、内からくる根底にあるものを自分や誰かに向けて歌われた曲に感じます。

素敵なポイントはたくさんありますが、僕的に特筆するとBメロ「スピーカー」がめちゃくちゃ気持ちいい。ワードの音とメロディと声が合ってていい。オクターブ上げのコーラスもハマってていい。Cメロの「イヤホン」と詞が対比になってるのもすごくいい。最高。


⬛︎M6.D・T・F

え、BREIMENてめちゃくちゃかっこいいやん!と再認識させられた一曲。
「D・T・F」は世にはいろ~~んな意味がありますが、今回のタイトルはDon't Think,Feel.の頭文字、ブルース・リー主演「燃えよドラゴン」の劇中セリフでも有名ですね。
劇中では前後の文脈があり、原文どおりの意味ではありませんが、この言葉だけでいくと「考えるな、感じろ」。

ひとつひとつの楽器と声が際立っているのに、音もリズムもぶつかって潰れることなくきちんと存在して交わって、とんでもないバランスで成り立っている。
開発された演奏最高。

サックス最高、ジョージさん本当に最高。

nordot.app「めちゃくちゃ考えて作りました。皆さんはただ感じてください」と、高木さんが各インタビューで話されていましたが、本当に「感じる音楽」。体や心の赴くままに流されながら聴ける心地良さがあります。

歌詞、じつはこれを書くまで読んだことがありませんでした^^;
D・T・Fも歌詞ヒアリング難易度MAX曲。語呂感がメロディに合いすぎて歌も楽器のひとつになっていて、ワードが聴き取れなくても歌詞を見に行く発想が出なかった、それくらい完成度が高い…技術…脳…な曲です。
「目的地定めては つまらないから 無我夢中 五里霧中 出目に名がつく」
BREIMENが詰まってるフレーズ。
僕自身の仲間との活動でも思う部分があったので印象に残った歌詞でした。
合わさったから起こった化学反応、というよりは
合わせるなら何もないのはヤダ、爪痕残せるようにしたいだろってどこか思って行動してるから名がつく出目が出るというか。
歌詞としてはそういう意味ではないかもしれませんが、僕なりの解釈でうんうんと頷いたフレーズでした。

ライブでこの曲を聴ける時はとにかく体をリズムの思いのまま揺らしながら聞くことをめちゃくちゃおススメします。BREIMENだな〜最高か~!?てなります。


⬛︎M7.あんたがたどこさ

これはもうBREIMENが話してくださってることを聞きましょう。
みのミュージックさんとの対談で解説なさってます。

www.youtube.comカツシロさんのギターソロ、あれ天狗イメージだったんですね!さすがです!!!!どおりでカッコイイわけですね!!!最高!!!ギターソロ入る時の「ギター」も世界観広がってバカほどかっこいい!!!最高!!!!
笙かなと思っていた音がサックスだったり、これもまたBREIMEN開発の仕事っぷりが発揮されています。確かな実績。

大正琴まで…!5人でできるもんすぎる…!


⬛︎M8.綺麗事

BREIMENバラードは名曲しかないのなんなんですか?エモーショナルという単語はBREIMENしっとり曲のニアイコールワードですよね?
先述の「強制的に奥からあの時の心模様を引っ張り出される感覚」、ここでもしっかり発揮。「あの頃」を引き出してこないで、と思いながら聴いてしまう曲。

guitarmagazine.jp
カツシロさんが綺麗事のアレンジについて話されてる記事を一読すると曲の作り込みの深さに味わいが増します。そしてBREIMENの音楽への挑戦に尊敬も増し増し。

また、2025さんことハマイバさんの体験を元に書いた歌詞であるとか。

rollingstonejapan.comBREIMENのMVの映像監督を担うハマイバさん、綺麗事はMVがありハマイバさんも出演されております。

www.youtube.comこれがまたドンピシャなんすよね。。曲とMVの違和感のなさが毎回すごすぎる。それほどに密なんだろうな。

BREIMENの「キミを思う人物像」はちょっとガムシャラ感のある母性をくすぐるイメージですが、この曲の「ボク」はちょっと「ズルいなぁ…」と思わせます。この「少しズルいボク」の綺麗事。あー。ダメですねこれは本当にいけませんね。

綺麗事は曲出だしがエグい。
「もうシャワーは2日浴びてないが 残るDior煌めくラメ 洗い流したくない」
この歌詞、このメロディ、いやエグいて…。
あの絶妙な気だるさや体を動かせない心の動き。綺麗事の歌詞は記憶があるかのような情景が鮮明に目に浮かびます。
レンズやファインダー、ピント、クランクアップと、知らずに聞くと映画をなぞらえた流れにストーリー性を感じる。映像監督であるハマイバさんの曲だと聞くと妙にリアリティが出てくるノンフィクションなフィクション。何通りも味わえる世界観の作り方が高木詞の魅力だなとあらためて思いました。
「2日」「3日」「4日」、「いつか」の遊び心もスタンディングオベーションです。
おめでとう…おめでとう…


⬛︎M9.チャプター

ちょっと怖いな、希望はあるんだろうか。
囚われているような、ただ突き進んでいるような。自暴自棄まではいかずとも…不安…ともまた違くて。
人生をたくさんの角度で見たうちの一角のような曲に感じました。
巻き戻ることはなくて、先述までの感想のように思い出すことで少しトリップするけれど、時間はただ無情に進んでるというか…無情ではなく時間の優しさなのかもしれないと、今なら思えるかも。
何言ってるかわからないですが、混沌もまた感想というか…^^;

1番のサビ前の楽器だけじゃなさそうな音、
2番の1Aメロから2Aメロのリズムの歪み、
放送事故が懸念されるためラジオでフル再生してもらえないと噂の6秒以上続くノイズ。
サビのメロディの終わり方も特徴的だなと思います。キリをつけないメロディの終わらせ方がより雰囲気を醸し出してるなぁと。

こちらもMVあり。豪華すぎませんか?アルバム内で映像作品見れるの嬉しすぎ…すご…ありがた…。

www.youtube.com見る人によって感想が変わりそうな、心理が映し出されそうな作品だなと思いました。目、ふたえすご!!!とかクソしょーもないことも思うかもしれません。僕は思いました。


⬛︎M10.エンドロール
車のキーを回し、エンジンがかかる。さよなら、さよなら。
一瞬で曲の世界に入り込んでしまうスタート、どう生きたらこんなことが出来るの…。


「幕引きは呆気ないな」本当に。ライブの時は特に。イベントが終わる時ってなんでこんな気持ちになるんだろう。「もう終わってしまう」が見え隠れし始めると幸せな時間にも少し影が落ちて、胸がざわつくのはなんで。

「キミのエンドロールに ちょこっといれたら」
最初は「せめて悪役さながら散れたら」って言ってたのに。
この「ちょこっと」が人間味で本当に高木詞。

歌詞見てびっくりしたけど、
エンドロール、こんなに歌詞短かったの⁉すごくしっかり味がある曲なのに、ほんとに⁉厚みィ…。

序盤はとにかくギターとサックスが醸す雰囲気が最高。
終盤の「さよなら さよなら さよなら」のコーラスは懐かしい洋楽のように切ない綺麗さ。
最後の悪あがきのような走馬灯のような盛り上がりから、優しいピアノの音。M1.フィクションで聴いたフレーズがここでも。あぁ、終わるんだ。最後のペン先と机が当たる音。何を書いてんだろう…でアルバムは終わります。

アルバムだーーーーっと聴いて最後にこのエンドロール。余韻がエグいてーーーーー!‪ ;  ;
呆気ない幕引き、拍手喝采間違いなし。もう一回スタンディングオベーションいっときましょう。

 

ここまで書いといてアレですが、アルバム全体のテーマは「映画」。今更アレですが。
各曲、別々に聞くと映画というテーマがどーんと大きく感じることはないのに、通して聞くとくっきり見える。構成される中に似た曲はないのに、要所要所にしっかり筋の通ったコンセプトが込められてる。おれたちに出来ない事を平然と(?)やってのける、そこにシビれる!あこがれるゥ!
BREIMEN、おそろしい子…!

アルバム『FICTION』は映画というテーマの中、
フィクションでノンフィクションな動く心と向き合い描いた高木詞と、
真正面から音と自分たちとゴロゴロ絡まり転がりながら挑戦と突き詰めを続けたBREIMENの音楽と、
それらの完成を一番待ち望んでサポートを続けた仲間の協力と、
そのほか諸々、僕たちには見えないいろんなことが詰まった結晶、BREIMENの歩みの作品なのかなぁと僕は思いました。

あくまでこれはひとつの感想。
聴く人や時が変わればもっといろんな味わい方があると思います。
何通りも味わえる、BREIMEN 3rdアルバム『FICTION』をぜひ一度召し上がってください!

うまく言えないですが、命を使いながら作品を作る人がいて。
そのかたたちから生み出されるものは唯一無二で、熱くて、人の胸を打つものが多い。人の心を動かすほど力強く、後世に影響していくものが多い。
命を削りながら作品を作ることはとても熱量が、エネルギーがいる行いであるからこそ、
作品に触れる時は喜びと憂いが入り混じった感情になるというか。刹那を感じることもある。
完成と披露のキラキラした瞬間や。そこから生まれるアレンジの楽しみや。反面、やりきったり、燃え尽きたり、疲れたり。何もできなかったり。次への期待とプレッシャーがあったり。
計り知れない、当事者にしかわからない様々なことがアーティストに降りかかると思う。
うまく言えないけど、ただ、シンプルに、自分の人生を生きていてほしいと思う。
幸あれ!happyであって!酸いも甘いも、でも最終happyであって!


ちなみに、「エンドロール」の「さよなら さよなら さよなら」は淀川長治さんイメージだったりします?

懐かしいな~。TVで映画を見終わったあとの余韻はこうだったな。

 

さよなら さよなら さよなら。

「BREIMEN」を味わう_IWBYL

名前や存在を知ってからしっかり目を向けるまでに、なんで躊躇う期間があったりいったん距離をとってしまうんだろう。結局はどっぷりハマってしまうのに。結局は「もっと早く知っとけばよかった」と後悔するのに。
その瞬間は、その時しかないのに。

BREIMENさん、あなたにもそれをしてしまっていました。深く深く後悔して過去の自分を説得しに行きたいです。「めちゃくちゃ好きになるんだから、好きの時間をたくさん味わうために早く再生ボタンを押すんだ」と。
この思いもまた、これから愛する動力になるんだろうか。これもまた味わい深いのかもしれない。

 

https://brei.men/


というくらいどっぷりいってしまってるバンド「BREIMEN」について今回は書きます。

 

BREIMEN、「ミクスチャーファンクバンド」の銘打ちに囚われることなく、ジャンル「BREIMEN」じゃん?と思わせちゃうくらいに表現の可能性無限大バンド。

紆余曲折を経て現在、
高木祥太(Ba/Vo)、サトウカツシロ(Gt)、いけだゆうた(key)、ジョージ林(Sax)、So Kanno(Dr)の5人組に。
旧体制の漢字時代(無礼メン)に関してはWikipediaや公式YouTubeにも詳細あるのでぜひ見てください。軌跡が見られるのは貴重だなと思います。目に見える部分だけにはなってしまうけど、あぁ、こうして歩んでこられたんだなと感じさせていただける。今のBREIMENをちょっと知れる気がします。


「修学旅行で無理やり組まされた班」といわれる、共通項は音楽やってるくらい?な個性的な5人が織りなす音楽は「全員好きなことしてんね⁉」と思っちゃうのに絶妙なバランスがとられていて、
挑戦的なサウンドに思わずワクワクさせられたり、聞いた人が「うわー…ここ好き…」ポイントを見つけてしまう、根底にじわっと懐かしいような苦いような表現を感じる、とにかく音楽がもっと好きになるバンドです。

音楽の方向性の違いが逆に良いんじゃん⁉を実践してるの、なかなかのバランスですよね。


YouTube公式動画「What's "BREIMEN" ?」では
「自由で 愉快で ダサくて 斬新で 切なくて 音楽馬鹿で ひねくれてて 愛せるバンド」とのコンセプトが描かれていて、「まさにその通り!」と知れば知るほど感じます。ライティングされたかた、むちゃくちゃ言い得て妙、尊敬…!


www.youtube.com


このカッコよすぎるのにちょっとダサいの最高にかっこいいんですよね〜〜〜。完全無欠じゃない、こなくそと自分の弱さを受け入れながら強くなろうとする等身大ヒーローに魅力を感じるのでBREIMEN刺さる〜〜〜。平成の仮面ライダーがそうだと思っていて。不完全だからこそだったり、「ひとり」じゃダメだったり。これはまた別で思いを吐露したかったりする。


出るたびに進化していく創り込まれた音源と、ライブでしか感じられない「生」感溢れる演奏。セッションめちゃうまバンドなのでライブが魅力的ですが、音源やMV等、作品づくりもクオリティ高いんですよね…モンスター過ぎんか…
「自分たちは技術じゃなく脳」とおっしゃっていますが傍からしたら「いや、技術もすごいんですが!?」状態。

BREIMENに関してはほんとにあの1曲1曲語りたいので。本当に。好きなとこを羅列させてほしい。本当に。ということで、今後ぼちぼちとアルバムや曲別に思いの丈を連ねていきます。


BREIMENのリード曲かなと個人的に思っているのは、やはり「IWBYL」。


www.youtube.com

 

アルバム「TITY」に収録されています。


「BREIMEN流ネオJファンク」とおっしゃっているように
歌詞や曲調が入りやすいというか、とっつきやすさあるのに、胸が高鳴る曲だな~と。
BREIMENの中でも可愛い曲なんじゃないかな~と勝手に思ってます。かわいいけど楽器それぞれ聴いたらむちゃカッコいい。
語彙力なくなる。かっこいいしか言ってない。
MVの2サビ終わりのマネキンチャレンジは「イイネ!」なくらいそれそれ感ある。見てて気持ちよくてにやける。

 

キーボードのさっぱり感とサックスの痛快感!
ギターのフレーズは刺さるわ、ドラムは軽快なのにどこか落ち感あるわ、ベースは音数多くないのに存在感すごいわ。
ボーカルのちょっと武骨な声が味になるし、カラオケでコーラスしたいやつ。
まずはこれが基本のBREIMENセットです!って知らないかたにお届けしたい。一軒一軒訪問していきたい。

 

「What's "BREIMEN" ?」でも使用されているので、今のBREIMENの入り口はここなんじゃないかな~と思いました。
「今の」です。やっぱり。明日には新しいBREIMENになってるかもしれないから。
だってもうすでに新しいアルバム「FICTION」は進化してますもんね。かっこいい人たちだなほんと。

 


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存在を知ったの、Tempalayからなんですよね。高木祥太さんがサポートに入ってTempalayがさらに魅力が溢れてそこから気になって。
…についてもまた話したい。Tempalayについて。Tempalayは本当に小原 綾斗サウンドは本当に最高だから。話したい。

 


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最高の対談。特に音楽のルーツの話は頷きすぎる。

 

 

音楽ってすごいな、今日も、いつも、ごちそうさまです。

「Creepy Nuts」を味わう at 2022.04.30 TWO MAN TOUR「生業」Zepp Osaka Bayside

Creepy Nutsの味わい方 at 2022.04.30 TWO MAN TOUR「生業」Zepp Osaka Bayside

 

長くて。

いつの話~~!ですが感想書きたいので書きます。

 

RHYMESTERとのツーマンでのライブ「生業」に行ってきました。


2年前、2020年5月9日。開催されるはずだった味園ユニバースでのRHYMESTERとのツーマンライブが中止になってから今日まで、どれほど待っていたか。
あの時、見に行く側としても実際ぎりぎりまで悩んでいたライブ。中止が観客以上につらかっただろう中、決定してくれたことに感謝の気持ちが今は持てています。

 

ライブ前にしっかり物販に並びました。会場限定のグリーンのロンTをしっかりゲット!普段使いできるデザインほんとありがたい…!



まずはRHYMESTER、念願のMummy-Dさんを…生で…!圧倒的なパフォーマンスはもちろんのこと、時おり見られる大人の色香にこれがレジェンド…と何度も息を飲みました。
大人のダンディな魅力ももちろんありますが、なにより御三方の人間性というか生き様というか、そういうところからの魅力が溢れてました。


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RHYMESTERのステージからメッセージをたくさん受け取りました。自分にしか出来ないことは絶対にあって、それを探すのも磨くのも自分次第。どんなことでもいつからでも遅くない。
そして大前提として尊重し合える平和であること。それは自分たち次第なんだということをいろんなかたちで表現されていました。


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ライブでここまで言えるのか。「言う」って、「言葉を発する」って、ラッパーは特に重みを感じてるとこあるだろうに。こんなかっこいい大人がいるんだな。歳を重ねることに抵抗感がある僕も生きることに少し希望がもてるかもしれない。と感じるステージでした。


どえらいレジェンドパフォーマンスの後に、Creepy Nutsは果たして…!?とドキドキしていましたが、要らぬ心配。むしろ失礼。ここ数年の成長の軌跡を見せてもらえたと感じました。


Rさんといえば前口上。曲の合間に語るなんの関連性もなさそうな内容から、いかに綺麗に曲の意味やタイトルに流れていくかが本当に職人技。
この日も冴えまくりで真剣に話を聞いていたらいつの間にか曲に繋がっていた。
「のびしろ」に入る直前のオチのにやり顔、「してやられた!!!」とこちらも笑ってしまうくらい本当に綺麗でした。
コロナ禍をとにかくゴロンゴロン泥まみれで転がって、何とか走りながら考えて実行して。その時代を生き抜くこと、その時代のライブのかたちを、何度もトライしてこれでいいのかと参加側も何度もエラーを噛み締めて。正解のない自問自答と決断を繰り返して。ようやく今のかたちを見つけ始めていること。
観客以上に考えてきたはずなのに、こちらにライトをあてて話してくれたことに胸が熱くなって「あぁ、本当にCreepy Nutsだな」と思った次第でした。

この日の「生業」はRHYMESTERとの舞台だからこそ、自身たちが築きあげてきたものをぶつけるかのような雰囲気があった。「生業」の体現。より一層深みと危うさを感じる時間だった。自身の肌にビリビリくる感覚を味わったことで、聞くことができて、見ることができて本当によかったと感じた。


www.youtube.com



最後は「ザ・グレート・アマチュアリズム」をRHYMESTERCreepy Nutsでパフォーマンス。Rさんと松永さんのめちゃくちゃ嬉しそうな姿に、こちらもhappyをわけてもらえました。これまで語られているRHYMESTERとの関係を読んだり聞いたりしてきたことがあるかたは「よかったね~~~~~;;;こっちも楽しいよ~~~~!!!」という気持ち溢れたんじゃないかと思います。

自身の選択により生まれる平和を教えてくれたRHYMESTERと、
今の時代を自分たちらしく大切なものを守りながら乗り越えていくことを伝えてくれたCreepy Nuts
終演後はしっかり音にノった疲労感と脱力感がすごいのに、心は明日から頑張るか~!とギンギンになってしまうような、
背中を押されるどころかバーーーンッ!と殴られたような勢いのあるライブでした。


K.U.F.U、合法、パッ散り、しっかりいただきました。
やっぱスゲーわ、かっこよすぎ!ごちそうさまでした!

 

「ヤバい方のパプリカ」を味わう

~素人ご愛嬌、ということで~

 

ヤバい方のパプリカ、でお馴染みの

筒井康隆氏の著書「パプリカ」に興味を持っている人も多いのではないでしょうか。

小説の帯ですね。ヤバくない方ありきなのがいい。

 

ちょっと変わったアニメや漫画好きのかただと、一度は目にしているタイトルだと思います。

ちょいディープが好き。ちょいグロっぽくて、人間の暗い原色の部分がテーマになってる作品がじつは好きなんだよねーって人。

僕もそういった作品に魅力を感じるひとりなので、今回向き合ってみることにしました。

正直長ーいこと触れないようにしていました。

レビューや感想をネタバレなしの状態でチラッと見ていた時にとにかく賞賛がすごくて。そんな作品を見てしまって「まだ見ぬ最高傑作」をひとつ失うことが怖くて距離をとっていました。

そう、僕は「好きな作品ほど最終回を見れない」という魔法に、ずっとかかっているのです。

終わってほしくない、終わらせたくない。

だからこそ、消化して昇華するための体力を持てる日を見極めて「パプリカ」探訪の旅に出ました。

 

【ネタバレなしのお話】

 

まずはじめに。

ヤバい方の「パプリカ」は原作小説とアニメ映画、漫画2種類があります。

 

パプリカ

パプリカ

  • 林原 めぐみ
Amazon

恐縮ながら漫画は存じ上げなかったため、今回は小説とアニメ映画についての話を進めていきたいと思います。

 

どっちから摂取するべきなんだ!?と迷ったのでアニメ映画のレビューの、ネタバレなしの部分を読みました。

「原作を読んだ方が楽しめるし理解できる」といった内容のレビューを読み、

一番美味しく味わいたい僕はまずは小説を購入しました。

 

 

通勤中に読んでいたのですが、これが非常に困りました。

どっぷりのめり込んでしまう世界観。没入しすぎて降車駅に気づけない。

筒井氏の文章を初めて体験しましたが技術や歴史、宗教や美術への知識が薄い状態でもじんわりと説明してくださり、しっかりと物語の中へ連れていってくださいました。なんで今まで筒井作品を読んでなかったんだろう。TV番組でおもしろいこというおじさんだな~で終わってたことを反省しました。

 

もう一つ困ったことが。

要所要所に出てくるお色気表現に、周りを気にしてハラハラしました。ここも筒井作品といえば、の部分だと噂には聞いておりましたが、早朝通勤電車とのエネルギーの不一致になんとも不思議なテンションで出社した次第でした。人の読んでいる本をチラッと見てしまう性分のため、よりドキドキしたところでした。

 

小説を読み終わった時には、うわーーー!と。声が出ました。

こんな何重にも味がする美味しい作品を、終わらせてしまったーーー!と駅のホームのベンチでしばらく座り込んでしまいました。終わった。終わってしまったと。

 

パプリカが魅力的な女性であることが感想としてよく語られますが、男性陣もパプリカに負けず劣らずとても魅力的な面々ばかりです。なにより登場する皆さんがとにかく魅力的。魅力的のゲシュタルト崩壊なほど魅力的です。

「いいなぁ…」「素敵だなぁ…」と思わず声にしてしまいそうな、そんなかたがたがいろんな事象に向かっていきます。

 

小説を読み終え、いよいよアニメ映画へ…と思いましたがここでまた心の問題が発生。

こんなに、こんなに濃い味の小説を表現しきってくれてるのか…?時間を見ると90分。本当に…?本当にこの小説を90分でおさめられているの…?怖い。怖すぎる。

 

でも僕は先人たちのレビューを信じた。

再生ボタンを押すことに決めた。

 

ありがとう先人たち。僕はアニメ映画「パプリカ」を堪能し、無事今日を迎えています。

 

率直に見終わってすぐの感想は「え!?なんで!?」。

原作をぎゅっとしてぎゅっとしてぎゅっっっっとしたのが本作品だった。ちょっと違うくないかしらそこ!となる部分もあった。もちろんそれだけではないと思う。時間の都合上だけではないと思う。

ちょみっと言うなら小説中で使用しているシステムツールがいくつかあり、問題が発生するのは②というツールだが映像作品では①というツールをそのまま②の機能も兼ね備えて~といったように、その他にもより進みやすくなるように様々なものが掛け合わされ、組み合わせられていた。

 

こういった面にう・・・と感じるかたもいるかもしれない。僕もよくそうなるタチだ。「原作どおり」こそが作品への愛とよく思ってしまうほうだ。

でもこの映像作品「パプリカ」は違っていた。原作と異なる部分への事情も、組み合わせがおこなわれた事情もわかっていない状態でも、作品へのリスペクトや思い、執念のようなものを感じた。

 

作品自体、ストーリーの疾走感や思いの動き、登場人物の色濃さや胸をぐわっと侵食するような演出など、心の知らない部分を触られる特殊な不安や快感を味わったと言えるくらいに、魅了された。

 

小説、アニメ映画と味わった後は充実と喪失が一緒に来た感覚で、居ても立っても居られず、僕はネット上の「パプリカ情報」を漁りにいった。

追いかけずにいられない。どうして?映画化の際に、どういう流れでこのストーリー展開になったの?知りたい。お願いどこかに載っていて。

 

載ってました。ありがとうWikipedia

 

どちらも堪能したかたはぜひ作品制作の経緯もご賞味いただきたい。なんとも歯がゆい中に、そうだったのか…そうだったのか…と表現できない心境を噛み締めることになります。小説と映画を見た後で大丈夫です。作品をとにかくそのまま純粋に味わってほしいから、前情報は入れなくて大丈夫。

 

★パン太郎的な「パプリカ」の味わい方

【小説】⇒【アニメ映画】⇒【映画制作エピソード】

 

この順番で美味しく味わえるんじゃないかな、と、僕は思いました。

まだ「パプリカ」を食べるか迷っているかたの勢いやきっかけになれたらいいな。

 

 

【ちょっとネタバレありのお話】

 

 

小説の能勢さんが好きだったんですよね。映画では粉川さんに吸収されていて、そっかそっか~と…大塚明夫さんの声は能勢さん、粉川さんどちらもぴったりだろうなと思っていたので、そこは見ていておお!と感動した点でした。

 

バーのお二人は言わずもがな。小説ではじつは二人の世界の中の話だったんじゃないかと思ってしまうような締めくくりで、現実ってなんだ!?と読み終わった後もほわほわしていたのですが、映画だとそのあたりが…好きなキャラクターゆえひいきに見てしまうんでしょうね。

 

小説でのパプリカや男性陣が連日夢で誰と誰がどうなっているのかもはや~~みたいな絡み合いになっている部分が単純に羨ましいと思いました。そういった状況が、というより…難しいところですが、とにかくいいなと純粋に思いました。

 

個人的に印象的な部分はやはり、映像作品の島寅太郎氏の発狂シーン。何度見ても鳥肌が立ちます。まだ寅太郎氏がどういった話し方をする人物か明確でない中、じんわりじんわりと例え話にしてはわかりづらい表現だな…?この例えは研究室内では通例なのかな…?が積み重なっていき、とうとう意図の理解できない言葉ばかりになって気づいた時には走り出し、平沢進氏の音楽が証明するかのようなタイミングで流れるあのシーンは、光輝く絶望への道に見えて…一生覚えていると思います。あんなにも怖いのに、明るくて何度も見たくなる、特別なシーンです。

 

筒井康隆作品の魅力に気付けたので、次回物語系の本を読む際は「残像に口紅を」を選んでみたいと思います。

 

 

あらすじを知った時に興味がわきました。好みがお察しですね。

う~楽しみ。